おじさんAのプログラムメモ

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「ITビジネスの原理 by尾原和啓」要約&感想

概要

マッキンゼーリクルートGoogle楽天など10回もするという異色経歴を持つ尾原さんの本。

1章「ITビジネスは何で稼いできたのか」

  • 商売の本質は、「その商品の価値が最も低い場所から仕入れ、商品の価値が最も高い場所で売る」ことにある
  • しかしインターネットによって、その価格差の情報が誰でも手に入る用になった
  • 結果、価格差を利用したビジネスはやりにくくなった
  • ただしモノの価格差を利用することは難しくなったが、ヒトを安く集め、それを必要とする企業に提供することは簡単になった
    • ex リクルートでは転職希望者に転職のノウハウを教えるのと引き換えに彼らの情報を集め、その転職希望者の集まった情報を元に企業から報酬を受け取っている
  • 世界中に散在しているユーザーを集め、彼らを企業やヒトにマッチングする仕組みを作るのが、インターネットビジネス

  • マッチングに重要なこと

  • インターネットビジネスは最初に純粋想起を勝ち取れた企業が収穫逓増していく。

    • 純粋想起 = 製品カテゴリーを聞いたら、真っ先にあるブランドが思い浮かぶこと。ネット通販といえば、アマゾン!検索といえばGoogle。みたいな。
    • 収穫逓増 = 強いところがますます強くなっていく法則。exオークションサイトは買う人が多いところに売りたいヒトも集まってくるし、その逆も然り。そのため大きいサイトはどんどん大きくなっていく。
  • インターネットでは課金ビジネスは難しいとされている。

  • 一般的にその理由として、インターネットにおいてユーザーは少額でも金銭を払うことを嫌うからと説明されることが多いが、本当は金銭以外のコスト、つまりクレジットカード番号を入力する手間や、セキュリティな不安のせいなのではないか?

    • ex 100円ライター理論
    • ex itunes, iOS&Androidの課金プラットフォーム
  • ソーシャルゲームには北風的な課金と太陽的な課金がある

    • 北風的な課金 = 他人と競い合うために課金する。そのためユーザーどうしの競い合い、際限のない消耗戦となる。ex怪盗ロワイヤルでアイテムが盗まれるのを防ぐために課金。
    • 太陽的な課金 = サンクコストに対する課金。時間を金で買う。ex パズドラ、アングリーバード
    • 北風的な課金はするユーザーは限定されているが、一人あたりの支払額は大きい
    • 太陽的な課金は、幅広いユーザーが課金ユーザーとなりやすい

2章「ネットが世界を細分化する」

  • クラウドソーシングで、今まで仕事をすることができなかったような細切れの空いた時間を、企業に売ることができるようになった
  • また時間的な制約だけでなく、空間的な制約を超えて仕事をすることができるようになった

    • ex ラスクル 各地の印刷所で空いている印刷機と、通常よりも安く印刷してもらいたいユーザーをマッチングさせるサービス
  • インターネットではタスクの細分化(=レイヤーアンバンドル、バリューアンバンドル)が起きやすい

    • レイヤーアンバンドル例=初音ミクの曲を作る人、踊りを付ける人、動画に仕上げる人。
    • バリューアンバンドル例=上記での曲の価値、踊りの価値、動画の価値
  • レイヤーアンバンドルの例としてオランダの農業改革
    • 農業を、温度管理、太陽光管理、栄養管理といった要素に細分化し、数値化する
    • オランダ中の農家がそれぞれの要素をバラバラな値でいろいろやってみる
    • そして収穫結果をもとに、要素の組み合わせの最適化をおこなった

3章「ネットワークとコミュニケーション」

  • インフォメーションとコミュニケーションを以下のように定義する

    • 受け手にとって利益をもたらすデータをインフォメーション。相互的であるかは問わない
    • データのやりとりが相互的であればコミュニケーション。利益は問わない。
  • フロー情報とストック情報

    • パソコン通信の時代から、掲示板、webサイト、ブログ、スマホ自体などのITの主流の変化に応じて、ネットの情報の主体もフローになったり、ストックになったり変遷してる
  • SNSには友人関係を強化するためのプラットフォームとしての側面と、情報取得ツールとしての側面がある

  • 情報の粒度はだんだん小さくなっている

    • サイト、ページ、記事、ツイート(140文字)
  • iモードについての話

4章「消費されるコミュニケーション」

  • 情報を発信するメリット、デメリット

    • インターネットによって情報を隠しておくメリットがなくなった
    • 企業の不祥事などは、外からバレる前に自分から発信したほうが、被害が小さい。
    • 情報を発信することで、外からのフィードバックを得ることができ、豊かになる
    • 情報を発信し、承認欲求を満たす
  • 目的型情報発信と、非目的型情報発信

    • 前者としてはニュース情報
    • 後者としては、個人の日記みたいなもの
    • 日本ではアメリカと比べ、非目的型情報発信の割合が多い
      • 目的型情報発信は報酬を求めて行うことが多いが、日本語の読み手はアメリカより少ないため
      • 日本では昔から私小説のような個人事を楽しむ文化的背景がある -> 日本人がハイコンテクストなものをもった同質性の高い国民だから
    • ただ日本のモバイルコンテンツ市場はでかい
      • 市場規模 -> コミュニケーションコンテンツ > 情報系のコンテンツ
    • 日本での豊富な絵文字、そしてスタンプ
    • 日本人はハイコンテクスト

5章「ITの目指すもの、向かい場所」

  • 物を売るか、物語を売るか

    • アマゾンは物を売るのに特化、合理的
    • 楽天は、店舗ごとに個性。モノ自体よりも物語を売ることにフォーカス
    • モノを売るのに特化すると価格競争になり消耗戦、それよりは物語を売る楽天モデルの方がこれからITビジネスが進むべき道なのでは
    • アメリカ的なムダなき社会から、人間的な社会を取り戻せるのは、この日本的なもの
    • 日本的といっているが、実は日本だけのものではなく、ヨーロッパにもアフリカにもお内容なハイコンテクストな文化はある
    • 日本的というよりも非アメリカ的といったほうがいいかもしれない
    • (この辺の考えから著者はGoogleから楽天に転職したとのこと)
  • コミュニケーションは共通語(英語)から、多言語へ

    • 今のネットユーザーの主流言語は英語だが、これから格安なスマホタブレットが普及すると、もっと土着の言葉、土着の文化を持つようなハイコンテクストな人たちが、主要ユーザーに変わる
    • そうなるとインターネットにおける英語はマイノリティに
  • 言語から非言語へ

    • pinterestのような画像などを介せば、言語が通じないような人とも場合によりハイコンテクストなコミュニケーションが可能
  • これからの技術。「ギガビット」「ウェアラブル

    • 新しい場所に行くとき、今であれば地図やスマホ、道路の標識を見たりでいろいろなことに気を取られている。が将来GoogleGlassが普及すれば、新しい道順については常にデバイスが教えてくれるので、人はもっと安心して周囲のいろいろなものに目が行くようになるのではないか?街角の気になるレストランだったり、すれ違う犬の愛らしさなど
    • また料理を写真に取るときも、スマホを取り出して写真を取るなどの動作がなくなるので、料理が暖かいうちに食べることができる

感想

  • 面白かった
  • これは買い

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